ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2015-J-13

金融危機後のOTCデリバティブ価値評価
~ 公正価値測定にかかる諸問題を中心に ~

安達 哲也

2007~08年の金融危機では、OTCデリバティブ取引等のカウンターパーティ信用リスクの顕現化から主要な欧米金融機関の多くが巨額な損失を被った。これを契機として、インターバンク市場においても、各銀行の信用リスクや市場の流動性リスクを勘案した貸出レートが適用されるようになり、銀行の資金調達コストは金融危機前と比べて高騰した。こうしたことから、金融危機後のOTCデリバティブ取引の価値評価においては、取引当事者の信用リスクを反映させる評価調整に加えて、高価となった資金調達コストの評価調整を行うことが実務慣行となりつつある。これら評価調整額は銀行損益に無視できないインパクトを与えているものの、評価調整を算定するための評価技法やインプットについての市場慣行は未だ確立しておらず、その評価額について大きな銀行間格差が生じている。
本稿では、金融危機後のOTCデリバティブ価値評価について、取引当事者の信用コストに関する調整と取引の資金調達コストに関する調整に焦点を当て、会計の公正価値測定の視点を中心に、フロント・オフィスのトレーダーの評価実務や資本規制の観点も交えて、それら調整にかかる理論的背景から計上の是非に関する議論、さらに銀行の損益や規制資本計算において惹起している問題点について整理する。

キーワード:公正価値、CVA、DVA、FVA、OIS割引、マルチ・イールド・カーブ、Rehypothecation


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