本稿では、金融システムの安定性に関する定量分析手法の中でも、特に、近年精力的に開発が進められているシステミック・リスク指標に焦点を絞り、その概要を説明したうえで、わが国のデータに基づいた計測を行う。システミック・リスク指標は、依然として発展途上であり、いくつかの限界が存在する。しかし、本稿の分析結果は、システミック・リスク指標は、金融システムを巡る頑健性をリアルタイムで把握するために有益な手段であり、金融システム・モニタリングを行っていくうえでの強力なツールになることを示している。
キーワード:システミック・リスク、リスク指標、早期警戒指標、ストレステスト、シナリオ分析、マクロ・プルーデンス、金融危機
掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。