ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2011-J-18

私的整理の成立を巡る交渉の法的考察
——ゲーム論の観点からの分析を踏まえて——

山本 慶子

 私的整理は、債権者全員の合意によって成立する。このため、「ごね得」や「メイン寄せ」を狙う債権者が存在するなど、債権者間の意見対立が著しい場合には、その成立が困難となる。そこで、本稿は、ゲーム論の観点からの分析を行い、私的整理が成立する仕組みおよび私的整理の成立を阻害する要因を明らかにし、その対応策を検討することを通じて、私的整理の成立を促す方法を考察するものである。具体的には、はじめに、私的整理が成立する仕組みについては、同時手番の1回限りのゲームだけでなく、2回繰り返しゲームや2段階交渉ゲームを用いた分析から、債権者らは自発的に行う交渉の結果として、「ごね得」や「メイン寄せ」を含む平等ではない分配案による私的整理を実現しうること等を明らかにしている。次に、以上の分析から私的整理の成立を阻害する要因として、交渉決裂時の取り分たる倒産手続における分配額および交渉の対象たる企業価値についての債権者間での認識の不一致を指摘し、それらの要因を克服するための方策について考察している。以上を通じて、わが国の私的整理の問題とそれへの対応策を検討すると同時に、私的整理の局面におけるソフトローの内容について考察を加えている。

キーワード:私的整理、ソフトロー、ガイドライン、メイン寄せ、ごね得、平等原則、交渉


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2011 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム