ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2011-J-10

全世界所得課税確保のための海外金融資産・所得の把握手法
—米国の適格仲介人(QI)レジーム・FATCAレジームの展開ー

田中 良

 本稿では、日本の居住者に対する全世界所得課税が適正に実現されるために必要と考えられる居住者の海外金融資産・所得に関する情報を課税当局が把握する手法について検討を行う。現在、居住者の海外金融資産・所得が必ずしも十分に日本の課税当局において把握されておらず、適切な申告がなされていないという問題が指摘されている。この問題に対する取組みとして、海外金融資産・所得の多くが外国の金融機関等を通じて保有されていることに注目し、外国の金融機関等に対して日本の居住者の金融資産・所得に関する情報を、租税条約上の情報交換制度によらず、直接、日本の課税当局に報告させる仕組みについて検討を行う。米国では、外国の金融機関等を通じた米国投資に対する源泉徴収を利用して外国の金融機関等に居住者の口座等に関する情報を報告させる仕組みとして、適格仲介人(QI)レジーム、外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)の展開がみられる。そこで、本稿においては米国におけるこれらの制度について分析し、日本の税制への示唆を得る。

キーワード:全世界所得課税、海外金融資産・所得、源泉徴収、報告義務、適格仲介人、外国口座税務コンプライアンス法


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