ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2011-J-9

租税条約に基づく情報交換
—オフショア銀行口座の課税情報を中心としてー

増井 良啓

 本稿は、オフショア銀行口座の課税情報を中心として、租税条約に基づく情報交換について、近年の法制度の展開を概観し、今後のあり方を論ずるものである。西暦2000年前後から、OECDを中心として、課税目的の情報交換に関する「国際的に合意された租税基準」が形成されてきた。2008年夏の世界金融危機以降、租税情報交換協定の締結例が激増し、「透明性と課税目的の情報交換に関するグローバル・フォーラム」が活発にモニタリング活動を行っている。この動きは、OECD加盟国のみならず、かつてタックス・ヘイブンと呼ばれた法域を巻き込んで、地球規模に広がっている。この中で、日本国の締結する二国間租税条約は、OECDモデル租税条約の2005年改訂に対応し、「自国の課税利益」要件の削除、および、金融機関保有情報へのアクセス、というポイントを取り入れるポリシーに切り替わりつつある。さらに、「国際的に合意された租税基準」を実施するために、租税条約等実施特例法を数次にわたり改正している。本稿は、このような展開を整理し、立法論および解釈論上の問題点をいくつか指摘する。

キーワード:国際課税、租税条約、情報交換、銀行口座、タックス・ヘイブン、OECD、租税競争


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