ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2011-J-8

集合的意思決定と法
—会社法を中心に—

森田 果

 法ルールの中には、集合的意思決定を扱う場面が多く存在する。本稿は、法学以外の他分野における集合的意思決定のメカニズムについての理論的な研究の近時の発展をサーベイしたうえで、法制度設計への示唆を得ることを目指すものである。集合的意思決定に関する研究は多様性に富んでいるが、(1)アクター間の相互作用が(少)ない非戦略的な状況を前提とするモデルと、(2)アクター間の相互作用がある戦略的状況を前提とするモデルに大別できる。前者からは、伝統的な法学的思考方法に親和的な古典的公共選択論と非合理なアクターを分析したモデルを紹介する。後者からは、最近10年ほどの間に大きく発展してきた「委員会の経済学」を、(a)委員会内での情報の共有、(b)委員会内での情報収集、(c)評判を気にかける委員会、の3つのモデルに区別して紹介する。そのうえで、それぞれについて法ルールへの応用可能性について検討を加える。例えば、株主総会における賛成割合を決議内容の相当性の考慮基準として組み込むことには、危険性があることが示される。

キーワード:集合的意思決定、委員会、公共選択、株主総会、取締役会、法制審議会、裁判員裁判


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