ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2010-J-28

銀行間資金決済ネットワークにおける最適決済行動と流動性節約効果

牧本 直樹

 銀行間資金決済ネットワークの参加者は、流動性コストと遅延コストを勘案しながら、最適な執行方法や執行のタイミングを選択する。本稿では、こうした状況での参加者の決済行動を非協力ゲームの枠組みで分析したMartin and McAndrews[2008]をベースに、修正RTGS方式に対する3タイプのモデルを構築し、各々のモデルに対して決済行動の均衡を導出した。さらに、決済ネットワークの構造、非戦略的参加者の割合、流動性ショックの分布などが決済行動に与える影響を分析した。その結果、遅延コストが増加することで均衡が変化し、決済システム全体の平均コストが減少するという現象や、早期に支払う参加者が増えると逆に支払いを遅らせる参加者が増えるといった現象が起こることを確認した。また流動性節約効果については、サイクルが短く中核的な参加者の間で活発に決済資金が循環しているほど、オフセット機能が有効に活用されることを確認した。分析したモデルは、1日を2時点でモデル化するなど現実の決済ネットワークを十分に表現しているとはいえないが、実際にも観察される事象を説明するなど、決済行動に関する理解を深めるうえで有用な示唆を与えている。

キーワード:銀行間資金決済ネットワーク、流動性節約機能、流動性コスト、遅延コスト、非協力ゲーム


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