ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2010-J-1

コモディティ価格変動の特徴とプライシング・モデルの展開

諸田崇義

 近年、原油や金属などコモディティのデリバティブ取引の規模は世界的に拡大傾向にあり、その価格変動に注目が集まっている。コモディティは実物資産であるため、その価格は、消費需要や供給制約等を反映するなど、他の金融商品とは異なる特徴を持つ。例えば、原資産の需給が引き締まっている状況では、先物カーブにバックワーデーションという現象が生じやすいほか、貯蔵が困難な財のスポット価格にはスパイクという現象が生じることがある。こうした価格変動の特徴は、株や債券など通常の金融資産に対するプライシング・モデルでは捉えられず、コモディティのためのモデルが開発されてきている。本稿では、コモディティに特徴的な価格変動を紹介したうえ、それらも表現可能なように構築された各種のプライシング・モデルについてサーベイする。また、各商品に対してモデルを適用した研究を紹介する。

キーワード:コモディティ、コンビニエンス・イールド、キャリー・コスト、バックワーデーション、スパイク、原油、先物


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