ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2008-J-5

日本の株式市場におけるボラティリティの長期記憶性とオプション価格

竹内明香、渡部敏明

 近年、資産価格のボラティリティには長期記憶性があるとの指摘が数多くなされている。そこで本稿では、日経225株価指数のボラティリティに長期記憶性があるかどうか、また、ボラティリティの長期記憶性を考慮することで日経225オプションの価格をより正確に捉えることができるかどうか分析を行った。さらに株式市場では、価格が上がった日の翌日よりも下がった日の翌日の方がボラティリティは上昇する傾向があることが知られているため、ボラティリティの長期記憶性に加え、そうした非対称性も考慮できるFIEGARCHモデルを用いて分析を行った。異なる78の期間で擬似尤度に基づくLM検定を行った結果、多くの期間でボラティリティの長期記憶性と非対称性が検出された。また、FIEGARCHモデルを用いることで実際のオプション価格をより正確に捉えられることも明らかになった。

キーワード:オプション、長期記憶性、非対称性、ボラティリティ、FIEGARCH、LM検定


掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

Copyright © 2008 Bank of Japan All Rights Reserved. 注意事項

ホーム