ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2008-J-2

金融業務と情報セキュリティ技術:この10年の経験と今後の展望

岩下直行

 日本銀行金融研究所では、1998年11月に第1回情報セキュリティ・シンポジウムを開催して以来、同シンポジウムを毎年度開催し、今回、第10回の開催を迎えた。第1回シンポジウムの開催当時は、まだ普及には時間が掛かると考えられていたICカード、生体認証、インターネット・バンキング、電子マネーといった技術が、この10年間の間に金融分野で広く普及するとともに、学術研究の対象と考えられていた情報セキュリティ技術が、金融実務の世界で欠くことのできないツールとなりつつある。
これまでの情報セキュリティ・シンポジウムでは、その開催時点でわが国の金融業界が直面していた、あるいは、直面する予兆がみられた情報セキュリティ技術上の課題を取り上げて問題提起を行い、金融機関が採用し得る対策や今後の展望について、金融業界の実務家と情報を共有することを目的に、研究発表やパネル討論を実施してきた。
本稿では、これまでの情報セキュリティ・シンポジウムの内容を参照しながら、わが国の金融業界が直面してきた環境変化、情報セキュリティ上の問題とその対応状況について説明し、金融サービスに活用される情報技術や情報セキュリティ対策の今後のあり方について考察する。

キーワード:インターネット、偽造キャッシュカード問題、生体認証、セキュリティ、電子マネー、リテール・バンキング、ICカード


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