ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2007-J-19

公的組織におけるトータル・システムとしての管理会計

藤野雅史

 近年では、公的組織の管理会計として、バランスト・スコアカード(BSC)や業績予算など、さまざまなシステムが導入されるようになってきた。今後は導入から定着へと関心がシフトしていくと考えられる。個々に導入してきた管理会計システムをその後も公的組織に定着させるためには、トータル・システムとしてのあり方が問われなければならない。本稿では、トータル・システムとしての管理会計を検討する事例として、アメリカ連邦政府における1990年代前半からの取り組みを振り返る。アメリカ連邦政府では、政府業績成果法(GPRA)をはじめとして、BSC、業績予算、プログラム評価・格付けツール(PART)などのシステムが相次いで導入されてきた。一連の導入プロセスを検討すると、個々のシステムの導入に当たっては、はじめからトータル・システムとしての全体像が描かれていたわけではないにもかかわらず、結果として、トータル・システムとしての機能が形成されてきたことがわかる。さらに、トータル・システムを構成する個々のシステムも、固有の機能に加えて、トータル・システムのなかでの役割を果すことがあること、そうしたトータル・システムとしての機能が形成されるようになった要因として、法的な要請、リーダーシップ、システム間の連携があげられることを指摘している。

キーワード:公的組織の管理会計、業績測定、GPRA、BSC、業績予算、PART、トータル・システム


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