ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2007-J-12

担保の会計処理をめぐる一考察

古市峰子

 担保については、現行の企業会計上、担保設定者における注記開示にとどまっている場合が多い。しかしながら、近年の企業会計にみられる考え方の潮流や担保法制をめぐる議論を踏まえると、担保設定に伴う法的効果をより細かく分析することにより、担保が設定されていない場合に比べて担保権者あるいは担保設定者にもたらされる将来のキャッシュ・フローの流出入に変化が生じる可能性がある場合には、その発生が将来の不確実事象に依存する場合であっても、会計上、反映させる(資産または負債として認識あるいは認識を中止する、評価額に反映させる、相殺表示する等)必要があるとの議論も可能と考えられる。
本稿では、こうした問題意識のもと、将来の不確実事象の会計的取扱いに関する検討の一環として、現行の担保をめぐる会計処理について考察するとともに、それを近年の企業会計にみられる考え方の潮流や担保設定の法的効果の観点から再考するに当たっての論点について、整理・検討している。

キーワード:担保の会計処理、不確実事象、金銭債権債務の認識・測定、実物資産の認識・測定、相殺表示、財務構成要素アプローチ


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