ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2006-J-19

日本の経常収支調整が円レートに与える影響

モーリス・オブストフェルド

 本稿では、日本の経常収支が均衡するような複数の代替的なシナリオが円レートに与える影響を定量的に評価する。分析の枠組みには、Obstfeld and Rogoff [2005a, 2005b]に密接に依拠した、貿易財の世界市場と非貿易財の国内市場とを相対価格が変動して均衡させるグローバルな一般均衡モデルを用いる。分析の結果、モデル中で重要な役割を果たす代替の弾力性に関する仮定に応じて、GDP比1%分の経常収支黒字減少に対して円レートの増価は10%にも達しうることが明らかになった。円レートへの影響は、代替の弾力性が大きい場合、あるいは為替の調整が日本の非貿易財生産の拡大を伴う場合には小さくなる。後者の場合については、非貿易財産業でより効率的な労働利用が実現すると仮定していることになる。

キーワード:経常収支調整、国際資本フロー、日本円の為替レート


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