ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2005-J-18

日本銀行のネットワークと金融市場の統合
—日本銀行設立前後から20世紀初頭にかけて —

大貫 摩里

 日本銀行の設立目的には、「金融を便易にすること」、すなわち地域的に分断されていた金融市場の全国的な統合を推進することが挙げられていた。しかし、明治期における日本の金融市場や金融取引、日本銀行の業務の実態についてはなお不明な点が多く、当時の日本国内における金融市場の統合過程において日本銀行がどのような役割を果たしたかについては、十分に明らかにされていない。
 本稿の目的は、明治期における日本の金融市場の統合時期および統合プロセスにおいて日本銀行が果たした役割について、金利データ、および金融取引に関する文献資料の両面から考察することである。
分析の結果、金利の地域間格差の縮小という観点からみると、1890年代後半に金融市場の統合が進展したことが確認された。また、金融市場の統合に果たした日本銀行の役割に関しては、民間銀行とのコルレス網、本支店出張所といった日本銀行の拠点ネットワークの拡大が、為替取引を通じて地域間の資金移動を円滑化させる機能を有しており、金融市場の統合を促した可能性が示唆された。

キーワード:金融市場の統合、決済ネットワーク、日本銀行、コルレス網、為替取引、資金移動


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