ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2005-J-10

銀行のポートフォリオ選択の効率性に関する一考察
—戦前期日本における普通銀行の資産運用を事例として—

南條 隆、粕谷 誠

 戦前期(1926~1940年)の普通銀行は、戦間期(1926~1936年)に貸出の低迷や公社債市場の発展を背景として有価証券保有を積極化させ、戦時期(1937~1940年)には国債を中心にさらに有価証券保有を増やした。この過程で、有価証券投資の考え方は、支払準備の一環や余資運用というものから、リターンとリスクを勘案し貸出を含めた複数の資産に分散投資を行なうポートフォリオ運用へと発展した。本稿では、Markowitz[1952]に始まるポートフォリオ理論を基に、戦前期普通銀行のポートフォリオ選択の効率性を検証するため、事前的なアセット・アロケーションと事後的なパフォーマンスについて分析を行なった。その結果、戦間期におけるポートフォリオ選択が効率的であったのに対し、戦時期にはポートフォリオ選択の効率性が低下したことが示唆された。戦間期におけるポートフォリオ選択の効率性が高かった背景としては、ポートフォリオ運用に関する理解やポートフォリオ選択・保有の自由、効率的な資産保有を促す市場規律の存在等が考えられる。

キーワード:戦間期経済、戦時経済、ポートフォリオ選択、地方銀行、金融システムの効率性


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