ディスカッションペーパーシリーズ(日本語版) 2005-J-3

中央銀行の財務報告の目的・意義と会計処理をめぐる論点

古市峰子、森毅

 本稿は、中央銀行の財務報告を、国民とりわけ市場参加者に対する情報提供ツールの1つとして捉え、こうした観点からの論点整理を企図したものである。
 具体的には、物価の安定および金融システムの安定といった公的な使命を主に資産の売買を通じて達成するという中央銀行の特徴、および、主要中央銀行の財務報告の実際に照らした検討を行う。その結果として、中央銀行の財務報告の目的・意義については、従来から重要視されている公的資源の適切な管理・運用にかかる評価という視点に加え、国民、特に市場参加者に対して、政策の事後的検証および将来の遂行可能な範囲の予見に資する情報を提供するという視点が重要であるとし、こうした観点からは、貸借対照表、損益計算書、剰余金処分計算書および予算・決算書の作成が有用であることを述べる。最後に、個別の会計処理にかかる1つのケース・スタディとして、金融調節の結果あるいはその遂行のために保有する有価証券の評価方法について検討する。

キーワード:中央銀行、財務報告、非営利法人会計、アカウンタビリティ、透明性


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