金融研究第18巻第5号(1999年12月発行)
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「コンセプチュアライゼーションが経済に与える影響
についての研究会」第2期報告

 本稿は、標記の研究会のうち、情報技術革新が市場参加者の期待形成や銀行の機能に与える影響を扱った第2期の多様な議論を、本年3月のワークショップの議論を含めて纏めたものである。
 市場参加者の期待形成に関しては、サーチやモニターのコストが低下する結果、期待形成が同質化してマクロ経済の変動が不安化するとの仮説が提示される一方、情報の非対称性が大きな市場では、情報操作や情報処理能力の格差によって情報の非対称性が却って深刻化するとの双方の仮説が提示された。
 銀行の機能に関しては、まず、金融仲介について、決済リスクが迅速に伝播するようになっているため、ナローバンクの意義が高まるとの仮説が提示された一方、安定性と効率性のトレードオフや「貯蓄銀行」への決済リスクの集中を根拠とする反論もみられた。また、日々の取引データをもとに信用リスク情報を生産する「電子商社」が出現したり、統計的手法による信用リスク管理によって、銀行の審査の意義が失われるとの仮説と、企業間信用の縮小や金融機関のアンバンドリングの事実を踏まえた反論が提示された。さらに、範囲の経済性については、手法上で要改善点が指摘されたものの、ユーザーコスト・アプローチにより、大規模行での決済と金融仲介の共通費用化という実証結果が示された。最後に、決済機能に関しては、かつての商品貨幣の量的制約や移転コストを克服した「国債投資信託」による決済の可能性や金融システムの安定化メリットが示されたが、この下での物価水準のあり方や決済手段への信認など、残された検討課題も指摘された。


本稿で示されている意見は、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

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