金融研究第18巻第3号(1999年8月発行)
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「電子決済技術と金融政策運営との関連を考えるフォーラム」中間報告書

 日本銀行では、いわゆる「電子マネー」をはじめとする電子決済技術の普及が金融政策運営に及ぼす影響を考えるため、平成9年12月にフォーラムを設立し、8回にわたり幅広く議論を重ねてきた。本報告書はフォーラムでのこれまでの議論を通じて浮き彫りになった主要な論点を中間的に整理したものである。
 電子決済手段は、その金銭的価値の管理形態により、ストアドバリュー型商品とアクセス型商品に分けることができる。電子決済手段の将来を正確に見極めることは困難であるが、(少なくとも当面は)ストアドバリュー型商品は小額決済に主に使用されると予想されるほか、電子決済手段は一般に、ネットワーク上で財・サービスを購入する電子商取引に適していると考えられる。
 金融政策運営への影響という観点からは、電子決済手段を「法定準備の課されていない新型預金」と理解すれば、その普及は信用乗数を上昇させる一方、貨幣需要を減少させる効果を有すると考えられる。このように電子決済技術の普及は、貨幣供給・需要の両面で「予期せざるショック」を発生させる可能性が高い。また、預金代替的な電子決済手段の普及は準備需要を減少させる可能性が高いが、大多数の中央銀行が操作目標としている短期金利のコントロールという点からは、発行体の最終決済が中央銀行当座預金を通じて安定的に行われるかどうかがポイントである。
 さらに、電子決済や電子商取引の進展は、トランザクションコストの低下を通じてクロスボーダー取引を増加させ、ひいては自国内での外貨決済や外貨建資産での運用を増加させる可能性がある点にも留意が必要である。


本稿で示されている意見は、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

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