金融研究第17巻第3号(1998年7月発行)
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金融研究会「江戸期三貨制度について」

○会議の模様
○報告論文
・出土銭貨からみた中・近世移行期の銭貨動態 (鈴木 公雄)
・近世貨幣の動揺(桜井 信哉)
・江戸期貨幣制度のダイナミズム(岩橋 勝)

 金融研究所では、平成9年12月、江戸時代における貨幣制度(いわゆる「三貨制度」)をテーマとする金融研究会を開催した。三貨制度とは、金貨・銀貨・銭貨の3種類の貨幣が本位貨幣として政府(幕府)によって発行され、しかもこれら三貨間には相互に交換相場が成立し、市場において日々変動していたという世界的にもユニークな貨幣制度である。研究会には、経済史、日本史、経済理論、考古学、分析化学など、貨幣・金融史に関わる多方面の専門家約50名が参加した。『金融研究』本号では、研究会の概要をはじめ、各報告論文とコメントをあわせて掲載している。
本研究会は、3つのセッションに分けて行われた。まず第1セッション「出土銭貨からみた中・近世移行期の銭貨動態」では、江戸期以前(中世後期)の銭による単貨体系とその変質がいかにして近世江戸期の三貨制度へとつながったか、またそうした貨幣動態に、中国から流入した永楽銭や、地方で独自に発行された領国銀貨がどのように関わったか、などの諸点について報告・討議が行われた。続く第2セッション「近世貨幣の動揺」では、主として17世紀末以降の貨幣改鋳が、貨幣の持つ諸機能(価値尺度、交換手段、富貯蔵)に対してどのような影響を及ぼしたかという視点から分析がなされた。第3セッション「江戸期貨幣制度のダイナミズム」では、江戸期における銭貨利用の実態や、正貨を供給する際の江戸幕府の意図や思惑なども織り込みながら、江戸期の三貨制度を総括的に論じる試みがなされた。


本稿で示されている意見は、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。

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