取締役の債権者に対する義務と責任をめぐるアメリカ法の展開後藤 元
株主有限責任制度のもとでは、株主=取締役は、債権者の犠牲においてハイリスク・ハイリターンの事業を選択するインセンティブや会社の倒産処理を迅速に開始しないインセンティブを持つことが指摘されている。近時は、この問題への対処として、会社の経営状態が悪化した場合(典型的には債務超過に陥った場合)には、取締役は株主ではなく(もしくは株主に加えて)債権者の利益を図る義務を負うべきであり、取締役の対第三者責任(会社法429条)をそのように解釈すべきであるとの主張が少なくない。もっとも、これらの主張は、しばしばデラウェア州の判例法をその根拠の1つとして援用しているが、デラウェア州の判例法とそれをめぐるアメリカの学説の議論がこれまで十分に紹介されてきたとは言いがたい。 キーワード:取締役の責任、取締役の義務、債権者、債務超過、倒産、 経営判断の原則、デラウェア州 「金融研究」掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日本銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。 |