日本銀行金融研究所貨幣博物館
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貨幣博物館からのお知らせ
2015年11月21日(土)貨幣博物館はリニューアルオープンしました。


黒田総裁挨拶 金融研究所貨幣博物館のリニューアルオープンに寄せて(216KB.pdf)

国立歴史民俗博物館 久留島浩館長 貨幣博物館リニューアルオープンへのご祝辞(103KB.pdf)

貨幣博物館のリニューアルオープンについて(700KB.pdf)

リニューアルオープン

リニューアルちらし(表) リニューアルちらし(裏)
今回のポスターとチラシのデザインである鯛と炭は、日本古来からの海・山の幸であり、
それらの間に銭(和同開珎)を置くことで、古来よりモノとモノを交換するための仲立ち
としてお金が使われてきたことをイメージしたものです。

黒田総裁 貨幣博物館リニューアルオープンに寄せて
1.はじめに

 日本銀行金融研究所・貨幣博物館のリニューアルオープンにあたり、一言ご挨拶申し上げます。
貨幣博物館は、1985年の開館以来、さまざまな貨幣や、貨幣に関連する歴史的、文化的な資料を収集・保存し、調査・研究を進めるとともに、広く一般に公開してまいりました。開館した当初は、年間来館者も2万人程度で推移していましたが、土日開館の開始、研究成果を活用した企画展の開催など、博物館としての活動の充実に努めてきたこともあって、来館者数は年々増加し、昨年には年間10万人を超える方にご来館頂くまでになりました。今回、開館以来の全面リニューアルオープンを無事迎えることができましたが、これもひとえに、ご列席の皆さまをはじめとする様々な方の日頃からのご指導と、ご来館頂いた多くのお客様に支えられてのものと御礼申し上げます。

2.貨幣の歴史を研究する意義

 貨幣博物館では、日本貨幣史に関する展示を通して、お金とはどのようなものか、お金がどのようにして生まれ、使われてきたのか、そしてお金の価値を安定させることがなぜ大切なのか、といったことを考える材料を様々なかたちでお示ししています。こうした展示を通じ、お金が人々に受け入れられる裏付けとなっているのは、お金の発行や流通を支えるシステム全体に対する強い信頼であることが示されています。しばしば「人文科学・社会科学は実験の難しい学問である」と言われますが、歴史は先人による壮大な実験の積み重ねとも言えます。貨幣の歴史は、金融や経済を巡る目の前の関心事項とは一見遠いものであるように思われるかもしれませんが、時代の流れを正しく見通すための重要な手掛かりになります。物価の安定と金融システムの安定という日本銀行の責務は、こうした長い歴史の積み重ねの中で、確立されてきたものです。

3.貨幣博物館リニューアルのコンセプト

 今回リニューアルされた展示内容は、この30年間の遺跡発掘の成果や学説の進歩を反映し、大きく変化しています。設備面でも、館内エレベーターのほか、お子さんや車椅子の方でも見やすい展示ケースなど、ご来館頂く方の利便性向上に繋がる新しい設備を導入したほか、子供向けの体験展示を充実させ、記念撮影スポットも設けるなど、親しみやすく、わかりやすく、どなたにも楽しんでいただけるような仕組みを多数取り入れました。また、目立たないことではありますが、保有する貴重な文化財を後世に長く伝えることができるよう、空気環境や照度の面で保存性の高い最新の展示設備を導入しています。
 こうした今回のリニューアルを支えたのは、所蔵資料の保存環境を整えながらコツコツと整理し、調査・研究を積み重ね、その成果を展示に反映していく、という積年の地道な取り組みでした。これらは博物館として当然の責務であり、その重要性が変わることは永遠にありません。貨幣博物館では、リニューアル後も将来に向けた活動をしっかりと進めてまいります。

4.終わりに

 貨幣博物館の展示室入口近くに、博物館の基礎を支えた3人の人物に関する展示があります。1人目は自身の収集した貨幣関係のコレクションを太平洋戦争の戦禍から守るため、日本銀行に寄贈した田中啓文氏です。その寄贈を快く受け入れた2人目の人物、渋澤敬三・第16代日本銀行総裁は民俗学の研究者でもありました。そして3人目の人物、郡司勇夫氏は専門家として資料の研究を進め、戦後のGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の接収の求めに対しても、「文化財は自らの手で守り、活かすべきだ」と交渉し、貴重なコレクションを守り抜きました。後世に文化財を伝え、その研究を進めるとともに、博物館で公開し、貨幣の持つ機能とその重要性を広く人々に知って頂きたい、そうした先人たちの思いに支えられて、今日の貨幣博物館があります。貨幣博物館は、今後ともわが国の貨幣の歴史に関する学術的なスタンダードを示す役割を担っていく所存です。
 今回のリニューアルにより、貨幣博物館の装いは新しくなりましたが、こうした思いを受け継ぎ、新たなスタート地点に立ったに過ぎず、ここから博物館自身も成長を続けていかなくてはなりません。私どもとしても、今後大いに努力していく所存ではありますが、学界や教育関係、地域の皆さまをはじめ、関係される方々のますますのご支援とご協力を心からお願いし、私からのご挨拶とさせていただきます。