貨幣博物館 常設展示図録
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[各時期の山田羽書] Yamada Hagaki Private Notes in Various Periods■はかき」(羽■■書56◆山田羽書発行の舞台裏伊勢神宮の門前町では、中世から商業が盛んであった。御師とよばれた神職は、布教や参拝客の宿泊の世話などを行う一方、商品の流通や為替取引も担う商人であった。版木Seal of Yamada Hagaki Private Note発行年「戌」1610年と推定されている■「小端数金額の書き付けの意味発行者名「山田大路長右」)17世紀初め 近世「丁銀」発行者の印概要(この羽書と引換えに銀を渡す。あとで間違いを申し立てても受け付けない。羽書の有効期間は2年)額面「伍分請取」5分=1/2匁の預り証1697年1736年伊勢山田羽書Yamada Hagaki Private Note1798年1836年Shimoichi Ginsatsu 1863年大和下市銀札Private Note初期の私札初期の紙幣は、17世紀初めに商業が盛んな伊勢や畿内で商人などが発行した。伊勢地方の商人は、銀貨との交換(兌換)を保証する言葉および額面金額を記載した紙片(端書=羽書)を用い、これらが周辺地域で流通するようになった。発行された伊勢山田の地名から山田羽書とよばれている。山田羽書 江戸時代を通じて発行された私札現存する日本最初の紙幣「山田羽書」は、17世紀初めに、伊勢神宮の門前町の商人(御師)が発行し、商人の信用力を背景に江戸時代を通じ流通した。戸時代には、藩だけでなく、さまざまな主体が紙幣を江発行した。現存する日本最初の紙幣は、伊勢地方の商人によって発行されたものであった。旗本や公家、寺社なども、自らの領地で紙幣を発行した。また、鉱山や宿場など特定の地域で商人などが紙幣を発行することもあった。Varieties of Paper Money During the Edo Eraさまざまな紙幣発行者Who Issued Paper Money?14さまざまな江戸時代の紙幣

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