貨幣博物館 常設展示図録
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4海外へ出た金銀銅memo34当初は慶長丁銀より純度の高い灰吹銀の輸出量が多かったが、幕府はその後、慶長丁銀以外の銀の輸出を禁止した。幕府は純度の高い灰吹銀の海外流出を防ぎ、輸出用の銀を幕府発行の丁銀に限定するために、長崎に銀座を設置し、貿易を監視した。Keicho Chogin(Silver)1601年品位80% 近世対馬藩は薬用人参などの輸入代金を慶長丁銀で支払っていたが、その後発行された宝永丁銀は、質が悪く受け取りを拒否された。輸入代金の支払いのため、慶長丁銀と同等の質の良い銀貨(人参代往古銀)がつくられた。Hoei Chogin(Silver)1706年品位50%人参代往古銀Ninjindai Okogin Coin for Import of Korean Ginseng(Silver)1710年品位80%原寸輸出用の銀は丁銀に限定日本独自の貨幣体系の確立国内外とも慶長丁銀の使用を基本とする宝永丁銀  (二ツ宝丁銀)江戸幕府の方針貨不足を防ぐため、1668年に銀の輸出を禁止した。[銀貨の輸出] Export of Chogin Silver Coins長崎での中国やオランダなどとの貿易のほか、対馬藩と朝鮮、薩摩藩と琉球を通じて主に中国に向けて銀が輸出された。慶長丁銀生糸・絹織物・朱印船など朱印船など銀・銭貨など輸入砂糖など輸出幕府が大名・商人の貿易を統制長崎銀座設置外国船が灰吹銀を持ち出さないよう監視慶長丁銀大量輸出貿易銀に対する輸出統制お金の材料の海外流出Outflow of Gold, Silver and Copper戸幕府は、自らの管理のもとで貿易を行った。17世紀の日本は、中国から生糸や絹織物、砂糖などを輸入する一方、主に金銀銅などの金属を輸出した。江戸時代初期の貿易と銀江銀の輸出16世紀後半から17世紀初めにかけて、主に中国に向けて大量の銀が輸出された。幕府は国内の銀幕府による貿易とお金の材料の統制Control of External Trade and Materials for Money by the Shogunate

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