貨幣博物館 常設展示図録
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3市のにぎわい海を越えてきたお金 23[備前国福岡の市(現・岡山県)の様子]A Busy Marketplace[さまざまな商人と商品の値段の一例] Merchants and the Price of Their Products鎌倉時代後期には、各地の定期市がにぎわった。多くの人々が集まる市ではさまざまな商品が売買された。米売り米1升=8〜10文荏油1合=30文「七十一番職人歌合」(模本)東京国立博物館蔵 Image: TNM Image Archives茶売り(一服一銭)抹茶1服=1文油売り「一遍聖絵」清浄光寺(遊行寺)蔵扇売り扇1枚=10〜50 文魚売り鯛1尾=15文銭さしで布を買おうとする男性米のはかり売りをする男性memo「割符」10貫文「割符案」(東寺百合文書 せ函71号)京都府立京都学・歴彩館蔵銭さしを数える女性職人・商人のなかには、権力者や寺社に奉仕し、通行税の免除などの特権を得て「供く御ご人にん」「神じ人にん」として諸国を移動したり、同業者集団「座ざ」を結成する人々もいた。商品流通の発達Development of Commercial Activities地の市では、代銭納の普及などにより荘園の生産物が商品として取引されるようになった。新たな特産物が登場し、地域を越えた商品の流れが生まれた。中世の職人・商人たち各中世の手形「割■■符■」京などと各地の市の間では為替を利用した送金が行われていた。紙に金額などが記された割符は、銭貨に比べて軽量であるなど利便性が高かったことから、離れた地域間での送金・支払いのために使われた。市の発達The Development of Marketplaces

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