貨幣博物館 常設展示図録
20/101

胞■衣■壺■■と銭貨平城京跡出土(奈良県)生まれた子どもの健やかな成長を願い、銭貨や筆、墨などとともに胞衣(胎盤)を壺に入れて埋める風習が広がった。topicMoney and Prayer平瓶から取り出された富本銭と水晶鎌倉の銭洗弁天(銭洗弁財天 宇賀福神社)金属のお金のはじまり 17藤原宮大極殿院(奈良県)の南門近くの地鎮遺構から、富本銭と水晶が入った平瓶が出土した。『日本書紀』には692年に「藤原宮地を鎮め祭らしむ」と記され、この鎮祭記事との関連が推測されている。地鎮としての銭貨平城京跡出土(奈良県)建物を新築する際に行われる地鎮祭や上棟式(祭)では、しばしば銭貨が使われた。平瓶の内部を透視したX線CT写真注ぎ口に富本銭、底部に水晶がみえる。墓から出土した銭貨小治田安萬侶墓出土(奈良県)東京国立博物館蔵墓には、墓誌(729年)とともに複数の和同開珎銀銭が副葬されていた。藤原宮の地鎮に 用いられた富本銭鎌倉 銭洗いの井井戸の絵のそばに「金あらい井戸」とあり、「所持の金銀」をこの水で洗えば「今日の一片」が明日の「百判」になると書かれている。上記7点画像提供:奈良文化財研究所飛鳥池遺跡出土の 富本銭古代からお金には不思議な力(呪力)があると信じられており、現世や死後の世界への願いをこめて神仏などにお金が捧げられてきた。埋められた銭貨藤原宮跡から出土した富本銭お金と水  お金を水で洗う習慣は、日本各地の清水の湧く場所などでみられる。お金と祈り

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る